ワラケア (Walakea/ワラキー) |
特になし |
不明(〜1838?) |
ポリネシア、タヒチ島付近 |
オタハイト(タヒチ)島の東にある島の老酋長。『インスマスを覆う影(The Shadow of Innsmouth)』では、一帯の島々の住民は「カナカ人(Kanaky)」と呼ばれているが、これはハワイ人の自称に由来する、白人による太平洋諸島の原住民の総称である。 島には、カロリン諸島のポナペ島の遺跡に似た、古い石の廃墟がたくさんあり、イースター島のモアイに似た顔が刻み込まれている。そして、その近くにある火山島には異なった彫刻のなされた廃墟があり、海底に沈んでいたように摩滅して、奇怪な怪物の姿が刻み込まれている。 島ではいつでも魚が豊富に採れ、住民は黄金のような金属でできた装身具をつけている。これらは実は、深みのものどもへの人身御供を捧げることによって得たものであり、住民は深みのものどもとの通婚を続け、ほとんど混血しきっていた。酋長であるワラケアの家系は他の島の酋長と縁組を続けていたために、ワラケア自身は深みのものの血を一滴も引かない数少ない島民だった。 島の住民と深みのものどもは、1838年までに周りの島の住民に〈古の印〉によって滅ぼされたが、ワラケアがインスマスより交易に訪れたマーシュ船長に島の秘密を語り、深みのものどもを喚ぶ方法を授けたことから、次の災厄の火種が継がれることになった。
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H・P ・ラヴクラフト『インスマスを覆う影(The Shadow of Innsmouth)』 |