Cthulhu Atras(ま行)






魔法の森

(Enchanted Wood/魅惑の森)

土地
『夢の国』
特になし

 ランドルフ・カーター〈夢の国〉に入る〈深き眠りの門〉を通って現れた土地。密生した樫の巨木群が枝を絡みあわせ、奇妙な菌類が燐光を発する、暗い不気味な森である。

 森の中央にあるかつての林間地には、苔むした巨大な環状列石が残っているが、これはかつて地上に棲んでいたガグどもが蕃神ニャルラトホテップの崇拝のために築いたものであり、スカイ河方面に向かうと、樫がまばらになって弱っている中に、差し渡し3フィート(90センチ)もある鉄の輪がついた巨大な平石があるが、これはガグの地下王国、コスの塔の最上階に通じる上げ蓋であり、大地の神々の呪いを恐れてガグがこの蓋を開けることはない。
 環状列石からほど遠くない場所にはズーグの村があり、穴や大木の幹を棲家としている。ズーグたちは石の上げ蓋にこそ近寄らないが、好奇心は旺盛であり、〈夢の国〉の秘密に通じている。森は二箇所で人間界と通じているが、これによってズーグたちは(うつつ)の世界の秘密にも幾らか通じている。人間界との門の周辺では、ズーグの仕業によって流言や事件、消失が発生する。
ズーグは菌類を常食としているが、肉も好むと言われるのは、森に入った夢見る者が往々にして行方不明になるためである。また、酒をも嗜むが、月に住む何者かが森に落とした種から生えた、他とは異なる病んだ木の樹液を発酵させたものである。
 スカイ河の平原に出ると、半日ほどでニルの邑に着き、森を北に抜けるとオウクラノス川の河畔に出る。

H・P・ラヴクラフト『未知なるカダスを夢に求めて(The Dream Quest of Unknown Kadath)』


ミスカトニック大学

(Miskatonic University/特になし)

施設
アメリカ、マサチューセッツ州アーカム
特になし

 

H・P・ラヴクラフト『ダニッチの怪(The Dunwich Horror)』


無名都市

(Nameless City/廃都)

都市
アラビア半島南部
特になし

 アラビア半島南部の砂漠(ルブアルハリ砂漠?)の奥地に位置する禁断の都市。アラビアの各部族は理由も定かでないまま、この都市を忌避している。
バビロンやメンフィス、さらにはイブイラムが建設されるよりも遥か昔から存在したこの都市を建設したのは人間ではなく、爬虫類に属する無名都市の住人である。彼らは、往古には豊かな谷間であったこの地に都市を建設して繁栄したが、やがて砂漠化により、都市の地下へと潜らざるをえなくなった。

 地上部はほとんど崩壊しているが、今も残る都市の地下部には、神殿、住民の歴史を描いた壁画、ガラスの棺に納められた住民のミイラを納めた墓所等がある。こうした施設は、住民の体形に合わせて作られたものであり、低い天井、急な階段などの特徴を備えている。そして、低い階段を地底深くまで下った最奥部には巨大な金属の扉があり、そこには光を放つ雲海のような光景が広がっているのだ。
 こここそが住民の最後の居住地であり、亡霊のような存在となった生き残りが、今なお潜んでいる。この金属の扉が夜毎に開いて、地下の世界から風が吹き出し、夜明けと共に地下へと帰って行く。

 ちなみに、ダーレスの『ネイランド・コラムの記録(The Keeper of the Key)』では、住民は海生生物であり、この都市は海底に築かれたものが、地上に浮上したために廃都となったとしている。

H・P・ラヴクラフト『無名都市(The Nameless City)』


メドウ・ヒル

(Meadow Hill/特になし)

施設
アメリカ、マサチューセッツ州アーカム近郊
特になし

 

H・P・ラヴクラフト『死体蘇生者ハーバート・ウェスト(Herbert West―Reanimator)』